クレジットローン ―ある主婦の15年―
第5章
そんな時、日頃の憂さ晴らしと思い、久しぶりの同窓会に参加しました。独身時代の気ままさを思い出し、日常からの解放感ですっかり気がゆるんだわたしは、昔仲の良かった友人のひとりにローンのことを話してしまいました。詳しくは言わなかったのですが、その友達は2、3のやりとりでわたしが陥っている状況がわかったようでした。
わたしたちは二次会にはいかず、友人はわたしをお茶に誘いました。そして、人で賑わう喫茶店の隅で自分の体験を話してくれました。彼女もわたしと同じようにローン地獄に陥ったことがあったのです。彼女は最終的にご主人にばれてしまったのですが、子供のこともあってなんとか離婚話には至らなかったようです。わたしは、つつみかくさず彼女に状況を話しました。ひとりでローンのやりくりを何年もかかえこんでいたわたしは、淡々とした様子で話を聞いてくれる友人を前に、時間を忘れてしゃべっていたようです。返済に追われる苦しみがよく分かると彼女は言ってくれました。そして、信じられない言葉が彼女の口から出てきたのです。
「ご主人にもこのまま知られず、返済に追われる生活も終わることができるのよ」
債務整理のプロにやってもらったのだと彼女は教えてくれました。わたしはしばらくの間、ぽかんとしていました。返済地獄から解放されて、なおかつ夫にも知られることがないなんて、そんなうまい話をすぐに信じることができなかったからです。「債務整理」の文字は電車の広告で見ていたけれど、そういうのはもっと大きな会社とか事業者のためのもので、自分のような個人、しかも主婦などは対象外だと決めつけていたのです。
「信じられない気持ちはよくわかるわ。けど、ちゃんと資格をもったプロの法律家にやってもらったほうが、絶対にいいわよ。冷静に返済のプランをたててくれるし。一番の効果は、毎月の催促から解放されるってこと。これは、やっぱりプロにしかできないと思うわよ。借金に追われていると冷静になれないからね」
家に帰ってすぐに、友人が頼んだという「債務整理」の事務所をインターネットで検索し、依頼方法や相談例を読んでみました。債務整理に関する本を2〜3冊読んでから、ネットでピックアップした事務所にとりあえず電話をしてみました。いくつか電話をかけた中で、丁寧にしっかりと応対してくれた事務所を選び、パートを休んで事務所を訪ねました。
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