クレジットローン ―ある主婦の15年―
第6章
借金にいたった経緯について順を追って事務所の人に話していくにつれ、わたしは冷静さを取り戻していきました。秘密厳守を約束してくれましたので、包み隠さず状況を話せたと思います。現状が分析され、わたしに可能な返済のプランがたてられました。もちろん夫に知られないようにです。そして、返済能力を借り入れ先と話し合ってもらって、毎月の返済金額と返済終了までの年月がはじきだされました。
まずは信販系、消費者金融系からの借入金それぞれ200万円に対する利息分の支払いをとめてもらえることになりました。さらに、返済しなければならない総額を交渉してもらい、それぞれ信販系120万、消費者金融系100万を、5年かけて分割で返済していけばいいというところまで話を決めてもらったのです。そして、毎月14万円だった返済金額が月4万円に減り、督促を受けることがなくなりました。債務整理の費用も6ヵ月の分割で支払うようにしてもらいました。
借り入れ先との話し合いや交渉ごとにわたしが参加することはまったくありませんでした。すべて債務整理の事務所の方がやってくれて、わたしはその返済プランにそって、返していくだけ。債務整理事務所の方ともほとんど顔をあわせることなかったくらいです。けっきょく、わたしの場合は2回しか事務所に行くことはありませんでした。
以上がわたしの経験したローン返済の顛末です。25歳で結婚してからの15年を振り返ったわけですが、債務整理をはじめた35歳からの5年間は、こつこつと返済をまじめに続けていけばよかったので、精神的に辛いことはほとんどありませんでした。今後、夫の収入が急に増えるわけでもありませんし、娘の学費などもさらにかかるようになるので、またいつローン地獄に陥るとも限りません。ただ、債務整理をはじめた時点でわたしにも心の余裕ができて、生活の仕方が少しずつ変わりはじめました。カードは使えなくなっていたので、とにかく、手もとにある現金の中で、小さな節約をこころがけるようなりました。意識して気をつけるだけで生活は変わります。返済に追われる苦しい日々に二度と戻りたくない。この思いがあればこれからもきっとうまくやっていけると思います。
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