クレジットローン ―ある主婦の15年―
第3章
31歳のころから、消費者金融でのキャッシングをするようになりました。ボーナス払いはほとんど不可能となり、パート時間も増やしましたが、忙しくなったぶんささいなお金が出ていって、けっきょく全体の生活費がうるおうということはありません。もちろん新しい電化製品、洋服などの買い物は控えるようにしましたが、夫の収入もまったくといっていいほど増える様子はなく、ただ毎月、毎月、返しきれなかったキャッシングの残高が徐々にたまっていくだけです。クレジットの明細はあまり見たくないので、来ても何日かは開封しません。しかし、銀行の引き落としの日が近づくと嫌でも見なければならないのです。だんだんと給料日が嫌いになりました。もらってもほとんど使えるお金はないと思い知らされるからです。あと、10万円あれば、今よりも状況が楽になる。そう考えながら、アイドルがやっているキャッシングのテレビコマーシャルをぼんやりと眺めていました。そして、自制の気持ちがあれば大丈夫と思い、小額を借りることを考えはじめたのです。
消費者金融からのキャッシングがこんなにも簡単だとは思いませんでした。ネットで下調べをし、以前から知り合いのいない町で見当をつけておいた自動契約機のある店に入ってみました。通りに面していて、まるでどこかの銀行のATMに入ってきたかのようです。契約機のあるブースは扉で仕切られていて、ATMコーナーとは別になっていました。夫にはぜったいに知られたくないので、免許書などの身分証明書があれば契約ができる限度額の低いコースを選び、申込みをすませました。
10万円あれば、返済をやりくりできる。このときはそう思っていました。パンフレットやネットでも10万を借りた場合の返済例が載っていて、毎月1万返していけば、たいした負担にならないなどと、自分に都合のいいように考えていました。
<<第2章 第4章>>
|