クレジットローン ―ある主婦の15年―
第2章
30歳ごろに子育てが一段落したので、3歳の娘を保育園に預けて、パートに出ることにしました。子供が熱を出してパートを休む日などもあり、月6万円程度しか稼げませんでしたが、それでも、いくらかを自分が稼いでいるという満足感はありました。ただ保育園は、子供を連れていけばいいというところではなく、子供にもたせるタオルや着替えの用意、そして毎日の義務となっている「保育ノート」などに時間をとられます。自分は働いて疲れているということを言い訳にして、ついついお惣菜を買って夕飯にあてることが多くなりました。パート仲間に紹介された無農薬の惣菜店のおかずは割高ではありましたが、安心ということを手抜きの言い訳にしやすかった。夫は自分の会社が忙しく、家庭で食事をすることが少なくなりました。二人とも毎日のことが精一杯で、夫婦の会話はほとんどありませんでした。
銀行のカード、信販系のカード、スーパーのカード1枚ずつから、キャッシングをするようになりました。3万円程度のキャッシングは、そのうち銀行のカード1枚だけにするようにしていたのですが、そのキャッシングも5万円弱から5万数千円になり、すぐに6万円になりました。信販系カードの額も月、1万円程度だったものがすぐに2万、3万円となります。スーパーのカードだけは、日常品の買い物のためだけと決めて、数千円にとどめていたのですが、それも徐々に5千円を超え、6千円、8千円となっていく。この約1万円のキャッシングがそのうち放置され、やがてずっしりとした額にたまっていくことになりました。
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