自己破産経験者インタビュー 自己破産に対する誤った理解が解ければ、必ず楽になれる
第3章 第二次借金時代
◆250万円まで膨れ上がった借金
その後、約半年間は借金に頼ることなく普通の生活を送っていたという吉田さんだが、パチスロへの依存は相変わらずで、再びカードに手を出してしまうこととなる。
パチスロに限らず、ギャンブルの勝敗って結局は“波”。調子がいいときは何をやっても上手くいくけど、悪くなると手の打ちようがない。それは十分に理解しているつもりだったけど、2か月連続で100万円勝ったときに“パチスロで勝つ極意”を掴んだ気になってしまったんですよ。これなら永久に勝ち続けられるってね。もちろん、アホ丸出しの勘違いだったと後になって分かるんですけどね。だから仕事をするのもバカバカしくなって、オファーがあってもすべて断り、毎日フーゾクに行くわ、メシは寿司か焼肉のみという豪遊三昧ですよ。家具も家電も全部買い換えました。ま、小市民レベルの贅沢ですけど(笑)。
でもご想像のとおり、そんなことが長く続くわけがない。あっという間に月100万円負けるようになり、軍資金も底をつきました。で、当然のようにまたカードに手を出したわけですが、そのときの限度額到達までの期間は短かったですね。なにせ月に100万円勝つ実績もあったし、もし限度額90万円に到達してもそんなに苦労はしないという経験則もありましたから。余裕というか完全な油断ですね。しかも、再び借り始めると、消費者金融もここぞとばかりに増額の誘いをしてくる。最初は「簡単なお手続きで増額します」とか言ってたくせに、断り続けていると勝手に枠が広がっている、なんて業者もありました。ま、借りなきゃいいだけの話なんですけど、意思が弱いからそうもいかない。各社、枠が広がった上に銀行系消費者金融の2社を追加して、半年後には借金の総額は限度額いっぱいの250万円にまで膨らんでしまいました
◆リボ払いは一生のお付き合い!?
ここまでくると、さすがにそれ以上の借金をする元気もなくなったようで本業に専念。パチスロからも一旦、足を洗い、合計で月々9万円を返済していた。しかし、これで一件落着とはいかなかったという。なぜか?
リボ払いですよ。全社、返済方法をリボ払いにしていたのがマズかった。月9万円の返済といっても、それは最低返済額だから元金は少ししか減らない。要するにほとんどが利子で、その場しのぎの返済に過ぎないんですよ。ところが不思議なもので、最低額さえ返済していれば、限度額以上に借金が増えることは絶対にない。だから安心しちゃうんですよ。元金が減っていないことには目を向けず、増えていないことに安心する。リボのマジックとでも言うんですかね。それでも返済だけしているなら問題はないけど、少し元金が減って限度額までに余裕ができると、ついまた借りちゃいますからね。ボクのような意思の弱い人間がリボ払いを選択すると、結局は一生のお付き合いになってしまう。現にそれ以降の約2年、延滞することもなく、余裕があるときは少し多めに返済してはいましたが、相変わらず収入も安定しないこともあって、破産の申請をした時点でほとんど元金は減っていませんでしたから。もし破産をしなかったら死ぬまで返済し続けてたわけでしょ。それを考えたら今でもゾッとしますね
元金こそ減らなかったものの、質素な生活をしながら返済し続けた吉田さん。月9万円という金額は決して楽ではなかったが、行き詰まるということもなく淡々と返済していたという。
それが当たり前というか、生活の一部になっていたので、利子を払うのがもったいないとか完済するための解決策を考えるとかまったくありませんでした。「同世代の男性なら住宅ローンで何千万もの借金をしているわけで、それを考えたら大したことない」というくらい呑気なもんでしたね
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